回復したい日々

いろいろ書いてます

あなたのこと

 

窓から光が差しこむ時間帯になってから寝ることが多くなった。長期休みの弊害である。せっかくの休みにわざわざ規則正しい生活を送るだなんてなんだかばかみたいで、ついつい生活周期が乱れがちになってしまう。大してやることもないのだけど。

この暑い季節に特に思い入れなんてないのだけれど、ひとつだけトピックをあげるとするなら、僕がうまれたのはこの暑い季節真っ只中のことだ。だからと言って浮かれ気分で過ごしているかと言われてもそんなことはない。むしろ長期休みが故にあまり友人に誕生日を祝ってもらうことが少なく、たいていは自室のやたらと冷たいエアコンの風を身体に浴びながら、どうでもいい動画を見て歳をとっていた。けれどもそんな1日を虚しく過ごしているかと聞かれるとそうでもなく、むしろそうやってなんでもない日常として誕生日を過ごすことが好きだった。

しかし、今年はそんな平穏で落ち着いた1日にはならなかった。まあ、お付き合いをしていれば誕生日なんてものは格好の餌食であり、むしろそんな日を通り過ぎようものならどんな仕打ちが待っているか分からない。僕だって彼女にお祝いされなかったらいくらなんでも寂しい気持ちになっていただろう。そんな心配をよそに、彼女はノリノリで僕の誕生日をハッピーなものにすべく、綿密なプランを練ってくれていた。当日までどこでなにをするのかは秘密になっていて、行く先々で僕は彼女のプランに驚かされた。僕が経験したこともなければ今後一生しそうにないものを、22歳という誕生日を節目に一気に経験することになるとは思いもよらなかった。そのような内容は非常に刺激的で楽しいものであったし、なにより僕を喜ばせようとあれこれ考えてくれていたこと自体に、僕はありがたみをとても感じていた。

そんな素晴らしいハッピーバースデーから既に1ヶ月が経とうとしている。またも見るに耐えない生活習慣の日々を過ごしている現状であったが、ふと思い返せばあの特別な毎日が頭をよぎる。何気ない1日も、忘れられない特別な1日も、僕はこの暑さの中で得ることができた。今後もこの季節を愛するということは考えにくいけれど、この季節を迎えるたびにあの特別な日々を思い出すのだろう。窓から差しこむ光を最後に意識を失う頭の中で、そんなことを考えた。