回復したい日々

いろいろ書いてます

真赤

 

「エモい」ってなんだろう。高校1年生くらいの頃に初めて耳にしたような記憶があるが、いまだに使いこなせる語彙として自分の中に定着してはいない。いやまあ、表現したいことはなんとなく理解できるが、それを使いたいかと言われたらなんとなく敬遠してしまっているというのが正しい。

いわゆる「エモい」とされる情景ほど、いろんな事象や感情、バックグラウンドが複雑に絡み合って産み出された尊いものであるような気がする。それを「エモい」のひとことで形容してしまうのは、乱暴だしなんだかもったいない気がする。なにより「エモい」として括るだけでエモくなくなるのでは?と感じてしまっていた。

けれど、僕の好きなバンドが「エモーショナルな楽曲」という煽り文句のもとシングルを発売していたことがあったが、それに関しては特に疑問を抱かなかったし、「へぇ〜エモーショナルなんだ〜」としか思わなかった。それはたぶん発信側が「エモい」という言葉を使っているからだと思う。ミュージシャンは音楽を使って世に広めることを生業としているから、そういう人たちがエモいと思ったならそれはきっとエモいんだろうし、「エモい」という語彙が正解の表現なんだな、と考えられるからだ。

ただ、たとえば自分が昔こういうことがあったとか、友人がこういうことがあったんだよね、と話す内容に対して「エモい」という言葉を使われたくはないし、また軽々しく使うわけにはいかない。それを使っていいのは当人だけで、他者がエモに当てはめるのはレイプも同然だ。日本語は年々便利になっていって、多様な言い回しが増えていくユニークな言語だけれど、手軽さがわかりやすく人気となるその反面、重厚さのようなものは失われているような気がする。思い出はきっと美しいし、尊いものだから、もっとふさわしい振り返り方をして慈しみたいものである。

まあ、長々といろいろ書いているが、要は「俺、エモい嫌い」ということが伝われば幸いです。セックスはひとつもエモくねぇよバーカ!